こんにちは。
和一閃のデザイン面を担当してます、夏ワタル(@summering26)です
前回はJASRACがどのような活動をしているのかについての概要と音楽の著作権について解説しました。
↓前回の記事
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目次
【音楽ビジネス】5分でわかる著作権とJASRAC①
こんにちは。 和一閃のデザイン全般を担当しています、夏ワタル(@summering26)です。   ...
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著作権というもの自体が複雑なものなのであり、なかなか分かりづらく頭に入ってこないひとも多いかと思います。
そんな方へ向けて、音楽著作権やJASRACについての概要を書いているので、ぜひそちらも参考にしてみてください。
さて今回はJASRACについて、第一弾の記事では書けなかった少し複雑な内容について解説してみたいと思います。
5分でわかる著作権とJASRAC②
基本的にJASRACは著作権を管理している会社なのですが、
一番重要な要素として「 著作権が使用された時の著作権使用料を徴収し分配する」という機能があります。
作曲家やアーティストなどの音楽を職業としている人にとって一番重要なのはこの部分なのではないでしょうか。
特にお金が関わることなので様々なトラブルに発展しやすいことも多く、
JASRAC が問題視されているのはこの著作権使用料の徴収という部分がやはり大きいです。
色々と問題があるのは事実ですが、まずはどういった仕組みで著作権使用料が著作権者に支払われているかについて
理解しておくのは音楽業界で働いている皆さんには必須だと思います。
著作権使用料を徴収している
JASRAC がやっていることの中で一番有名なことに著作権使用料の徴収があります。
JASRAC に登録された著作物が営利を目的として利用されると(要はお金儲けのために使われると)著作物を利用した人はその使用料を払わなければいけません。
この使用料の徴収(取り立て)をしているのがJASRACです。
わかりやすいようにこの記事を読んでいるあなた自身が「レコード会社からメジャーデビューして楽曲を発売した場合」
を想定して、説明してみたいと思います。
自分が実際に著作権使用料を得るということをイメージしつつ読んでみてください。
使用料が支払われるまでの流れ
まずあなたが自身の楽曲でメジャーデビューを果たしたとします。
その楽曲はシングルカットされレコード会社から発売されることになりました。
そしてあなたはレコード会社から発売したデビュー曲の著作権を音楽出版社に委託譲渡しました。
ポイント
※音楽出版社に著作権を委託譲渡(つまり自分の持ち物である著作権をあげるということ)する目的として一般的なのは、楽曲やPVなどのプロモーション目的です。
音楽出版社は主に宣伝活動などをあなたの代わりにしてくれるという役割を担っています。
そのためには音楽出版社と契約してあなたの著作権を委託譲渡して、楽曲が売れたらその使用料のいくらかを契約上の配分で受け取るというカタチです。
さらに音楽出版社はあなたの楽曲の著作権の一部、またはすべてをJASRACに信託譲渡しました。
(いわゆるJASRACに登録というカタチ)
あなたの楽曲の著作権を預かったJASRACは、あなたの楽曲が使用されるとその使用者から著作権使用料を徴収するという仕事をします。
そして、楽曲を使用した(つまり著作物を使用した)ものはJASRACに著作権使用料を払います。
そして最終的にはその著作権使用料が著作権を所持している人や会社、つまりあなたや音楽出版社に入ってくるというわけです。
わかりやすくいうとこんな流れ。
著作権使用料の流れ
あなた:楽曲を制作(著作権が発生)
↓
レコード会社:あなたの楽曲を発売(著作物を使用)→使用料を払う
↓
あなた:楽曲の著作権を音楽出版社へ
↓
音楽出版社:著作権をJASRACに信託譲渡
↓
JASRAC:あなたの著作権を管理&使用料徴収(←レコード会社が支払い)
↓
JASRAC:著作権使用料を著作権を持っているひとに分配(支払い)
↓
(管理手数料を差し引いた残りの使用料)
↓
音楽出版社:使用料を受けとる(音楽出版社の取り分を差し引く)
↓
(残った使用料)
↓
あなた:使用料を受け取る
非常にめんどくさいですが、こんな感じの流れになっています。
この構図でいうとレコード会社は楽曲の使用者で、音楽出版社は楽曲の著作権者(著作権を持っているひと)。
そしてあなたは楽曲の著作者(つくったひと)です。
音楽出版社はあなたと契約し、あなたの著作権を受け取り、更にそれをJASRACに登録します。
これを信託譲渡と呼びます。
つまり著作権はJASRACに移動するまでに様々な契約(使用料の配分など細かいことについて)を経て、JASRACが預かるようなカタチで管理されているということです。
著作権がいったりきたりしているという訳ですね。
著作権を預かっているのはJASRACなので、その著作権に関連した著作物を使用した場合はJASRACに使用料を払わなければいけないということです。
注意
ここらへんが巷で問題になっている部分なのですが、基本的に著作権使用料を払わなければいけない場合というのは、営利を目的とした活動に関わっていたときです。
例えば、飲食店で著作物のからんだ楽曲をBGMとして流していた場合は著作権使用料を払わなければいけないらしいです。
例えばあなたが作曲した楽曲が入ったCD(JASRAC登録済)をカフェやレストランで勝手に流していたら、
JASRACの怖い人がお店に使用料を払えと凸してくることになるわけですね。
で、大体の場合はトラブルになるんですがww
著作権使用料の再分配とは?
ここまでで著作権がどのような工程を経てJASRACに登録されるのかについて分かってもらえたかと思います。
今度は著作権使用料の支払いについて少し細かく説明していきます。
上記と同じ内容で考えていきます。
(この記事を読んでいるあなたがメジャーデビューして楽曲を発売したとイメージ)
あなたが作った楽曲をレコード会社が使用すると、レコード会社はJASRACの著作物使用料規定(つまりどのように使うといくら払わなければいけないかなどの決まり)にしたがって、 JASRAC に使用料を払います。
JASRACはその著作権使用料の中から管理手数料を差し引きます。
手数料はものによるのですが、CDの場合は6%、映画の場合は25%など著作物によって幅があります。
詳しくはJASRACの管理手数料のPDFを参考にしてみてください。
↓
管理手数料を差し引いた残りの金額をJASRACから著作権者である音楽出版社に支払われます。
これを「分配」といいます。
そして著作権使用料を受け取った音楽出版社は、
著作権を譲渡された時にあなたと交わした契約(著作権契約書など)の分配率をもとに、あなたに払う使用料を計算します。
そして、音楽出版社の取り分を差し引いた金額が最後にあなたに支払われるわけです。
音楽出版社はこの分配された著作権使用料などからプロモーション費用なども補填しているんですね。
この音楽出版社がJASRACから分配された使用料を、著作者(つまりあなた)や共同出版社などに分配することを
「再分配」と言います。
ちなみにJASRACが著作物の使用者から著作権使用料を徴収するときには「著作物使用料規定」を元にしている様です。
また著作権者(著作権を持っているひと)に使用料を分配する際には「著作物使用料分配規定」
を元に分配を行っています。
↓参考
ついでにいうと「著作物使用料規定」は予め文化長官に届け出をしないといけないという決まりが著作権管理事業法の中に書いてあります。
なかなか厳しく管理されているんですね。
まとめ
今回はJASRACがどの様に著作権の使用料を徴収し、著作権をもつ人に対して支払っているかについて解説しました。
ポイント
いかがだったでしょうか?
今回の記事を読めば、著作権使用料がいかにめんどくさい手順を経て支払われているかについてわかったと思います。
なかなか複雑な仕組みだったりするのですが、ポイントとしては著作権自体もその著作権が使われたときの使用料自体も、直接著作者が管理することは非常に難しいということ。
また分配や再分配などややこしいシステムになっているということを覚えておくと良いと思います。