著作権とJASRAC③

音楽著作権

【音楽ビジネス】5分でわかる著作権とJASRAC③

スポンサードリンク

こんにちは。

 

和一閃のデザイン全般を担当しています、夏ワタル(@summering26)です。

 

 

前回JASRACについての2つ目の記事を公開しました。

 

 

内容としてはJASRACがどのように著作権使用料を徴収していて、どのように著作権を持っている人に対して使用料を分配しているかについての話でした。

 

前回の記事をまだ読んでいない方はこちらから読んでいただくと、今回の記事もわかりやすいかなと思います。

 

↓前回の記事

 

今回は著作権の管理と使用料がどのようになっているのかについて、少し深堀りした内容になっています。

 

 

読んでもらいたいひと

  • JASRACの業務について知りたい
  • 著作権管理の手数料について知りたい
  • 将来的にJASRACに楽曲を登録しようと考えている
  • 音楽の著作権について知りたい

 

 

今回も多少難しい話になるかと思いますが、なるべくわかりやすく解説してみたいと思います。

 

5分でわかる著作権とJASRAC③

 

前回の記事で著作権をJASRACに管理してもらい使用料を得るためには、

音楽出版社などど契約して著作権を委託譲渡してJASRACに管理してもらい、レコード会社などから入った使用料をJASRAC→音楽出版社→著作者といった順番で受け取る(分配)という複雑な仕組みについて解説しました。

 

 

「著作権を会社を経由してJASRACに管理してるのはわかった」

「使用料がどのように入ってくるのかについて理解できた」

 

 

大体前回の記事を読んでもらった人はこんな感想なのではないでしょうか。

 

 

しかしここでさらなる疑問がでてくると思います。

 

「じゃあ著作権はどのように管理されているの?」

 

こういった疑問です。

 

それについて解説していきますね。

 

JASRACの基本の業務とは?

 

JASRAC の基本的な業務として著作権者から預かっている著作権の使用料を徴収しているわけですが、

前回の記事であげたようにレコード会社だけから著作権使用料を徴収しているわけではありません。

 

 

例えばカラオケ業者や放送局、映画会社やレンタル会社、楽譜の出版社やライブハウス、クラブやコンサート会場など様々な楽曲が関わっている業者から使用料を徴収しています。

 

 

最近では音楽のサブスクリプションサービスなどもありますよね。

例えばSpotify、Apple Music のような定額聴き放題サービスのことです。

 

そういったサービスからも著作権使用料を徴収しています。

 

JASRACあらゆる音楽作品に関わる業者というわけですね。

 

 

小さなお店で CD を流した程度でも著作権使用料を厳密に徴収しようとする様はまるで NHKのようです。

最近では音楽教室などでレッスンの時に演奏する楽曲からも使用料を徴収するという徹底ぶり。

 

個人的にはこれはやりすぎだと思っているのですが、 JASRAC は著作権を守るという大義名分のために動いているようです。

 

JASRACの著作権管理手数料の仕組み

 

 

 

「じゃあJASRACの運営にかかるお金はどこからでているの?」

 

こういった疑問も湧くと思います。

 

 

 JASRAC は業務の維持に管理手数料入会金会費又は寄付金などを当てています。

 JASRAC に入会する際に支払われるお金や楽曲使用料の一部を手数料として差し引き、運営につかっているというわけですね。

 

 

 JASRAC の管理手数料の料率は一定ではなく、著作物の形態によって分かれています。

例えば管理手数料が一番高い著作物は映画上映や上演、演奏やカラオケ、ビデオの上映などです。

 

これらは著作権使用料の25%もの金額を手数料として差し引かれます。

 

↓著作権管理手数料の今日は JASRAC のサイトに行けば見れます

https://www.jasrac.or.jp/contract/01.pdf

 

 

管理手数料になんでこれほどの幅があるのかと言うと、効率的に管理できるかと言った部分が 影響しているようです。

 

 例えばCDなどのレコードやレンタルビデオなどは管理がしやすい傾向にあるかと思いますが、

コンサートやカラオケ、演劇などといった分野は著作権の管理の効率性が低いようです。

 

 

特にクラブなどの社交場で音楽が使われる場合どの音楽をどのように使っているかなどを完全に把握することは難しいですし、

 クラブオーナーなどに著作権の使用料の支払いをお願いしたとしてもまともに払ってくれるとは限りません。

 

わざわざ JASRAC の社員が出向いて著作権使用料の支払いをお願いしないといけないという手間もあります。

 

そういった管理や使用料の徴収の難しさなどを考えて料率を変えているわけですね。

 

楽曲は作品コードで管理されている

 

 

 JASRAC には古今東西で製作された膨大な数の楽曲が登録されています。

 

 

基本的に楽曲の管理はデータベースを作成してコンピュータで行っているようです。

膨大な数の楽曲に作品コードと言う番号を付けて管理をしています。

 

著作権を預かっているわけですから、しっかりとコードをつけて作品を管理しないといけません。

 

また楽曲を区別するといった意味合いもあります。

 

世の中には同じような名前の楽曲が山程あるからです。

 

 

 

同名異曲をしっかり区別するためにもデータベースと作品コードは必須といえます。

作品コードがわからない場合も著作権者やアーティスト名などを入力すれば検索で出してくれるシステムもあります。

 

 

また曲名だけでも勿論検索可能です。

(ただし同じ曲名が多すぎる場合もあります。「LOVE」で検索したら25666件もありますw)

 

万が一作品コードを忘れてしまった場合でも、なんというアーティストなのか、誰が著作権を持っているのかなどがわかれば検索可能というわけです。

 

 

好きなアーティストの楽曲の著作権が誰にあるのか調べてみるのも勉強になるかと思います。

 

↓気になる方は一度検索してみると良いですよ!

JASRACの管理システム「J-WID」

http://www2.jasrac.or.jp/eJwid/main?trxID=F00100

 

 

↓またインターネット上で 音楽情報を見ることができるポータルサイト 「Music Forest(音楽の森)」などでも著作権の情報を見ることができます。

https://www.minc.gr.jp/

 

 

JASRACは管理を委託された楽曲の権利者になっている

 

JASRAC は全ての管理楽曲に関して、権利者から管理を委託された形権利者になっています。

 

つまり著作権を持っている人から管理を委託するという形で著作権を譲渡されているということがポイントです。

 

 JASRAC と著作権についての信託契約を交わすと(つまり著作権を管理目的で委託譲渡する契約を結ぶ)、

 

著作権者が持っている著作権のうち、管理を委託した著作権がすべてJASRACに移動します。

 

 

著作権を管理する仲介業者という形ではなく、著作権の権利者として業務を行っているので、

使用者に対して著作権使用料を徴収したり、著作権の使用許諾などを出すことができるのです。

 

ちなみに委託者との契約によって委託された著作権とその著作権の使用料や管理に関して、JASRACは告訴や訴訟を起こす権限を持っています。

 

JASRACに楽曲が登録されると、その楽曲に関わっているほとんどの権利をJASRACが代わりに得ることが出来るというわけです。

 

JASRACに登録してたら演奏活動はしても良い?

 

「JASRACに自分の曲を登録した場合、自分の作品を演奏したら使用料を払わないといけないの?」

 

 

実際に自身の作品を作曲している人、つまり著作者の人にとってはこういったことは気になる部分だと思います。

 

今どきは様々な場所で自身の楽曲を演奏したりしますよね。

 

TwitterやYouTube、SHOWROOMなどのメディアで宣伝活動をすることもあるでしょうし、路上ライブに出たりライブハウスやコンサートホールなどで演奏する機会がある人も少なくないと思います。

 

JASRACに登録済の作品の場合、自身の作品だとしてもJASRACに著作権使用料を支払わないといけないのでしょうか?

 

JASRACや音楽出版社に著作権を譲渡しているわけですから、著作者は著作権を持っていないことになります。

 

 

でも著作権を譲渡したからといって、自分の著作物の作品を演奏するのにいちいち使用料を払わなければならないなんておかしな話しですよね?

これについて結論から言いますと、場合によっては使用料を払わなくても大丈夫なようです。

 

 

 

以前はJASRACも著作者などが自身の曲を演奏した場合にも著作権使用料を取っていたようです。

 

委託者が自己使用する場合でも使用料は免除されず、JASRACに使用することを申請した上で、使用料を払わなければいけなかったのですが、

プロモーション活動などで自由に作品を使用したいといった要望に対応するために、一定の範囲内でなら著作物を使用することが可能になりました。

 

 

たとえば作曲者が音楽出版社に委託譲渡して著作権を管理している場合、日本国内でのプロモーション目的で、かつ対価を得ないのであれば

事前にJASRACやその他権利者に許可を得ておけば使用料を払わずに使用可能です。

 

ただし、著作者が報酬を得ることを目的とした場合はNGのようですね。

 

 

また音楽出版社が楽曲の著作権を管理していない場合には報酬を得て自己使用できるようです。

 

しかしそれには上限があります。

 

例えばコンサートなどでお客さんから入場料をとって演奏などをする場合、入場料などが400万円以下の場合に限ったり、自主制作でCDなどを作って販売する場合は1000部以下……などといった決まりがあります。

 

 

その他様々な細かい約款がありまして、全ては説明出来ませんが……。

 

著作権管理事業法に基づいて管理運営している

 

最後に軽く紹介しておきます。

 

 JASRAC などの著作権に関する管理事業者は、著作権管理事業法という法律に基づいて著作権を管理運営しています。

 

↓著作権等管理事業法

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=412AC0000000131

 

元々は仲介業務法という法律に則って著作権管理の仲介業をしていたのですが、この法律が2001年に撤廃されたことをきっかけに「著作権等管理事業法」が制定されました。

 

以降はJASRACなどの著作権管理事業者は、この法律に基づいて事業を行わなければいけないようになりました。

 

これに関しては次の記事で解説予定です。

 

まとめ

 

今回はJASRACが著作権や楽曲をどのように管理しているかについて解説してみました。

 

JASRACがどの様に業務を行っているかについて興味がある方の参考になれば何よりです。

 

 

JASRACの業務のポイント

  • 著作権の使用料を徴収している
  • 運営費は使用料から差し引いた手数料などで賄っている
  • 手数料の料率は著作物の形態によって違う
  • 楽曲は作品コードで管理されている
  • 楽曲の著作権に関しては検索で調べることができる
  • JASRACは仲介業者ではなく権利を委託された業者
  • 著作権管理事業法に基づいて運営している

 

 

今回は以上となります。

  • この記事を書いた人

夏ワタル

和一閃のデザイン全般を担当しています。 普段は会社員をしながら兼業でデザインやイラストの仕事をしています。 音楽鑑賞と読書と3DCGが趣味。

-音楽著作権
-, ,